花き業界では、もともとの需要に比べて花を生産しすぎたり、逆に例年に比べて需要が低減したりといった要因で、生産された花が商品になる前に廃棄されています。またイベントや商業施設などで一日限りのデコレーションとして飾られた花が、まだ美しいうちに廃棄されてしまうことも。
そのような「商品価値はあるにもかかわらず、店頭に並ばず捨てられてしまう花」は、「ロスフラワー」と呼ばれています。ロスフラワーという言葉でこれらの廃棄される花が再定義されたことで、従来は単なるゴミとして扱われていたものが、「エコ」で「サステナブル」な商品として新たな価値を持つようになりました。
現在では、一般の方でもロスフラワーを購入することができます。花を購入する際にロスフラワーを選ぶことで、廃棄されるはずだった花を救い、花き業界全体のサステナビリティ(持続可能性)の向上にも貢献できるでしょう。
今回は、主に自宅に飾る目的で利用可能な、ロスフラワーのサブスクリプションサービスについて紹介します。
目次
「ロスフラワー」の名付け親・河島春佳氏
最初に廃棄予定の花を「ロスフラワー」と名付けて商品化したのは、株式会社RINの代表である河島春佳氏。フローリストでのアルバイト経験を通じて廃棄される花の量の多さにショックを受けた河島氏は、2019年に株式会社RINを立ち上げ、ロスフラワーを用いた店舗デザインやフラワーアレンジメント、ドライフラワー作品などの商品化をスタートしました。
その取り組みは「花の廃棄量を減らし、花き業界の持続可能性を向上させる」として農林水産省で紹介されたことから、注目を浴びているようです。コロナ禍によって大小様々な催しが中止されたことにより、生花の需要が大幅に低下。結果として生産された花の余剰が大量に生まれてしまったことが、間接的にロスフラワー市場を盛り上げる一因となりました。
現在では河島氏以外にも花の廃棄問題(フラワーロス)を解決するための方策として、ロスフラワー販売を行うサービスが複数生まれています。
ロスフラワー販売のおすすめサブスクサービス4選
ロスフラワーのサブスクリプションサービスの中には、ロスフラワーそのものを販売するサービスもあれば、フラワーロスを減らす仕組みづくりの一環としてサブスクリプションサービスを展開しているものもあります。
中にはただ「一定期間ごとに花が届く」だけではないものもあり、サービスによって様々な特徴があります。その中でも毛色の違った4つのサービスを紹介します。
Flower cycle marche(フラワーサイクルマルシェ)
「Flower cycle marche」は、ロスフラワーの名付け親である河島春佳氏が代表を務める株式会社RINが運営しています。主に花農家で規格外として廃棄される花を、「ロスフラワー」として購入者に直送しています。
現在、定期的に配送されるサブスクリプションサービスとして利用可能な商品は、バラの詰め合わせセットのみです。こちらは本数および配送周期を選ぶことができます。すべてトゲを処理した状態で届くため、飾る前の面倒な下処理が要らないのがうれしいポイントです。
公式サイト | https://lossflower.theshop.jp/ |
メニュー・価格(税込み) | ・【定期便2週間毎】バラ15本 4,480円/1回 ・【定期便2週間毎】バラ30本 7,080円/1回 ・【定期便1ヶ月毎】バラ15本 4,480円/1回 ・【定期便1ヶ月毎】バラ30本 7,080円/1回 ※すべて送料込みの価格 |
発注時の注意点 | ・解約はいつでも可能 ・支払い方法は、クレジットカード、Amazon Pay、コンビニ決済、Pay-easy、銀行振込、キャリア決済、PayPalが利用可能 ・【定期便2週間毎】の場合、発注した週の翌週から配送開始 ・どのメニューも日時指定は原則できない |
その他の特徴 | ・サブスクリプションメニュー以外に、単回購入可能なメニューもあり ・規格外品なので、品物の状態にはバラつきがある可能性もある ・運営会社公式サイト https://lossflower.com/services/flower-cycle-marche |
FORESTY(フォレスティ)
「FORESTY」は、「廃棄されてしまう花を長期的かつ継続的に減らすこと」と「地球に森を増やすこと」の2つを目標に掲げてロスフラワーのサブスクリプションを提供しているサービスです。
FORESTYで購入された商品の売上の一部は植樹・植林活動に利用されるため、ユーザーはFORESTYを通じて「ロスフラワーの削減」と「地球の森林の再生」の両方に貢献できるという仕組みです。
届く花は季節によって変化していくため、長く続けても飽きにくいでしょう。また、届く花の量も細かく選べるので、自分の生活に合った量だけ配送してもらうことが可能です。
公式サイト | https://foresty-japan.com/ |
メニュー・価格(税込み) | ・Soil plan(3本以上) 700円/1回+送料360円 ・Seed plan(4本以上) 900円/1回+送料360円 ・Root plan(7本以上) 1,400円/1回+送料550円 ・Stem plan(9本以上) 2,000円/1回+送料550円 ・Bloom plan(13本以上) 3,000円/1回+送料550円 |
発注時の注意点 | ・支払いはクレジットカードのみ ・配送頻度は、毎週・隔週・毎月の3パターンから選択可能 ・発送日の翌日に届く ・ギフトとして贈ることも可能 ・配送スキップ、一時休止、解約はWebマイページからいつでも可能 |
その他の特徴 | ・花を長持ちさせる栄養剤もついてくる ・地域によってはサービス未対応の場所もあるので注意が必要(詳細はこちら) ・Soil planおよびSeed planはポスト投函で配送。その他は宅配便での手渡し |
LIFULL FLOWER(ライフルフラワー)
不動産会社である株式会社LIFULLが運営する「LIFULL FLOWER」。受注生産方式で商品を届けているため、必要分以上の生産が行われず、結果としてロスフラワー削減に繋がっているサービスです。
ユーザーが自分で花瓶を用意する必要がなく、届いたらそのまま飾ることができる「スタンダードプラン」は、他のサービスでは見られない内容でしょう。もちろん自分で好きな花瓶に飾れるよう、花だけが届くコースもあります。忙しくなかなか自宅にいられないという方には、ポスト投函が可能な「ライトプラン」が特にオススメです。
いずれも市場から直送された新鮮な花が届きます。
公式サイト | https://flower.lifull.jp/ |
メニュー・価格(税込み) | ・ライトプラン(1〜3本) 858円/1回(月2回) ・セルフアレンジメントプラン(Sサイズ|Lサイズ) 1,958円/1回|3,278円/1回(月1回) ・スタンダードプラン 2,680円/1回(月1回または2回) ※すべて送料込み |
発注時の注意点 | ・支払いはクレジットカードのみ ・北海道および東北の一部地域は送料200円〜500円必要 ・離島および沖縄県には配送不可 ・解約は配送予定週の月曜日までなら可能 ・配送不要の月はスキップ可能 |
その他の特徴 | ・季節に応じてセレクトされた花が届く ・公式サイトの「お知らせ」から、「今週の花レシピ」が確認できる |
霽れと褻(はれとけ)
霽れと褻(はれとけ)は、ユーザーから注文された分の花だけを採花して届けるため、非常に新鮮な状態で商品が届きます。必要な分だけを商品として流通させるため、廃棄される量が非常に少なくなり、間接的にフラワーロスを減らすことに貢献しています。
花農園から直接配送されるため、花屋では手に入りにくい旬の花が届くのが特徴です。また、花と一緒に「花の新聞」が届けられ、届いた花の豆知識や生産者情報、より魅力的に見せる飾り方などがわかります。
申込後、配送開始が翌月からとなるため、花を飾りたい日が決まっているような場合は、なるべく早めに申し込むと良いでしょう。
公式サイト | https://faretoqe.com/ |
メニュー・価格(税込み) | ・花と新聞の定期便 3,300円/1ヶ月 ※送料込み |
発注時の注意点 | ・支払いはクレジットカードのみ ・申込みの翌月から配送開始 ・配送日時は毎月運営から届くフォームに回答して決める(特集する農園によって日時が異なるため) ・解約はいつでも可能。メールで申請すればOK |
その他の特徴 | ・届く花は毎回1種類のみ ・法人契約も可能(要問合せ) |
ロスフラワーを活用して「花のある生活」を
数年前に比べリモートワークやオンライン授業が一般化した現在、自宅で過ごす時間を“ちょっとだけ華やか”にするアイテムとして生花を飾ってみるのは、お手軽で良い手段かもしれません。街角の花屋で好みのブーケを購入するのも良いですが、ロスフラワーのサブスクリプションサービスを利用して「今回はどんな花が届くんだろう」というワクワクを味わうのも楽しいひとときです。
商品は自宅に届けてもらえるため、気軽に行ける範囲に花屋が無い人でも花を自宅に飾れるという点も利点のひとつ。生活に少しの彩りを加えつつ、捨てられてしまう花を減らすエコな取り組みにも貢献できるという、まさに一石二鳥な取り組みといえるでしょう。
あなたもロスフラワーのサブスクリプションサービスを活用し、「花のある生活」を始めてみてはいかがでしょうか?